しかしそんな僕の気持ちに変化が訪れたのが、2014年のトルコ旅行。現地のオッサンたちのサルエルパンツ×ジャケットというコーディネートに、一目惚れしてしまったのだ。当時業界内で話題を集めていたトルコ出身のデザイナー、ウミット・ベナンがそういったルックを提案していたことも、僕の見方を大きく変えた。そう、もともとサルエルパンツって、こういったイスラムカルチャーから生まれてきたものであり、今みたいにヒョロッとした若造がはくものじゃなかったはずなのだ。
というわけで本気サルエルパンツの捜索開始!
トルコではその実態を掴むことはできなかったが、2015年に訪れたモロッコで、狙い通りの1本を手にいれることができた。あれは現地でもディープなシロモノで、今やあまりはいている人はいないのだという。そのはき心地のよさやシルエットの面白さにハマって、2017年冬には日本からグレイフランネルの生地を持ち込み、超高級仕様のサルエルをつくってもらったりもした。世界広しといえど、アットリーニのジャケットにモロッコ製のサルエルパンツを合わせているヤツはいないだろう!
つい先日訪れたモロッコでも本気サルエルパンツの捜索は継続。真っ黒なコットンキャンバス生地を1本、化繊ものを3本ゲットした。コットンのシルエットは抜群の安定度だが、面白いのは化繊。仕立てこそチープだが、そのテロンとしたシルエットはかなりのアルマーニテイストなのである。ぜひともリネンのジャケットを合わせたいね。
今やモロッコ人でも「どこで売っているかわからない」と口をそろえる本気サルエルパンツ。おそらく普通の旅行者の方々も、見つけられないと思います。こうなったら僕が輸入しちゃおうかな・・・。
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