さて、今回のお題はパンツです。なので Levis501 の縫製される前段階にスポットライトを当ててみることにしました。では今一度チュイルリー公園をご覧下さい。ちょうど rue de Rivoli とセーヌの河川敷 Quai des Tuileries にあたる両サイドがセルヴィッジ(生地の耳)となっております。パンツになった時ちょうど外脇線に耳がきますよね。実際に型紙を置くとこんな感じになるんです。また、プレシュリンクのXXデニムは縦方向で平均13〜15%は軽く縮みますので、ルーブルのピラミッドからコンコルド広場まで縮率込みで3メーターはある計算です。よく見ると前見頃ポケットのえぐれた所でコインポケットを置いてますね。ここならポケット口に耳を使えます。耳で取るのはファッションではありません。ロックミシンの手間が省け、裁断の手間も省けるから、ただそれだけの理由なんです。501って耳部分を捨てる所なく使い切ってますよね。自分もデザイナーの駆け出しの頃、生地の耳を色んな所に使ってみたりしましたが、この完璧に全てのパーツが美しく埋め込まれた型入れ図を見てしまっていたら、いたずらに用尺を使うだけの耳利用デザインなんて初歩だな、なんて思います。アメリカ人は生地を幅イッパイまで有効に使いながら縫い易いカーブを気にしながら最小のゴミしか出ないパーツデザインまで考え込まれてようやくこの型入れ図に至ってるんです。これぞアメリカン無駄無しスピリットですよね。まぁ、その後のフレアだのバギーだのといったデザイン主体のパンツの時代になり、78センチ幅デニム自体が非効率なので148センチ幅となり・・・、そして現在に至っております。
でもほらね、ゴミが少なかったり、園内の小道のカーブが美しかったりってなんだか似てますよね、XXとチュイルリー公園の設計って・・・。
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