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冬を彩る帽子謎の業界人風、エルメスのスエードキャップ

以前ロンドンの超有名デザイナーをアトリエでインタビューした際、現地のPRマネージャーが横柄でイライラしたことがあった。平たくいうと「ナメてんな、コイツ」というやつだ。しかし取材が終わった後、僕がそれまで手に持っていた「ジェームス・ロック」のソフトハットをかぶり、「イートウツ」のボルドーカラーのロングコートをはおったところ、彼女は小さく「オウッ」と漏らしたあと急に態度が変わり、ニコニコと愛想よくなった。ルラルルル・・・・。
そう、この業界はそもそも見た目で判断されるものなのだが、モードの世界はそれが顕著。とくに女性PRともなると、こっちがいくら総手縫いのビスポークスーツを着ていようが知ったこっちゃない。単なるスーツを着たジャパニーズ坊主なのである。しかも僕は以前、神保町の人気ラーメン屋「覆麺」のオヤジに「あんた僕のこと知ってるでしょ。お客さんラーメン好きそうな顔してっからね〜」と感心されたほどの粗野フェイス。残念ながら、帽子をかぶっていなければファッション業界人とは見なされないのである!
というわけで自宅には50を超える帽子コレクションをそろえているのだが、なかでもとっておきが、こちら。トップにラムスエード、裏側にカシミアを使った、世にも珍しい「エルメス」のキャップである。こいつに「ソラクザーデ」で買ったヴィンテージの丸メガネをかければ、誰がどう見ても脱・ラーメン屋。洗練されているかどうかは別として、得体の知れない〝業界人的〟に見えることは間違いないだろう。あとはレストランだろうが取材だろうが脱がないという、鉄のメンタルさえあれば完璧だ。