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おとなの嗜み、レザーコート・ジャケットグッチのレザージャケットは70年代のかほり

風邪で小学校を休んだ、平日の午後2時。1980年代のそれは、現在とは全く様相が異なって、淫靡な香り漂うまさしく大人の時間であった。10チャンネルをつけると天知茂みたいなきっちり横分けの中年男性と、松尾嘉代みたいな色気ムンムンの中年女性によるネチネチした愛憎劇が。12チャンネルをつけるとチャールズ・ブロンソンかバート・レイノルズ主演のお色気バイオレンスB級映画がきまって再放送されていた。そう、1976年生まれの僕にとって、70年代のイメージとは、これらの再放送タイムによって培われた要素が8割なのである。まだアソコの毛も生えていない10歳の僕は「いつか僕もこんないやらしいオヤジになるのだろうか・・・」と戦慄を覚えていた。
かくして30年後。いまだにアムロ・レイに共感するこじらせ中年になってしまった僕だが、「このわた」が食べられるようになった頃と時を同じくして、ようやくあの頃の中年たちが放っていた、喉越しの悪い格好よさを理解できるようになった。
そこでクローゼットの奥から引っ張りだしてきたのは、2011年に買ったグッチのスエードジャケット。素材は超肉厚なカーフスエード。ビッグラペルで超タイト、着丈は長く裏地には総柄のシルクを使った、70年代中年たちのマンダム臭がプンプン漂う逸品である。そうとう高価なものだったが、今までは合わせるものが見つからず、数回しか着たことがなかったのである。着たとしてもデニムやカーゴパンツで無難にまとめていた。しかし今の僕は知っている。コイツには襟のデカイニットシャツ、ジェントリーフレアのスラックス、ヒールやや高めのビットモカシン、素通しのティアドロップ、というコーディネートが最高に格好いいということが・・・。残念ながら酒もタバコもダメで、しかも坊主な僕だが、このコーディネートで飯倉の「キャンティ」に行き、業界人ヅラをしてバジリコスパゲティでも味わいたい。