夕方の帰宅後はパンツ1枚にこれだけかぶって、イヴ・サンローランのバブーシュか、ベルジャンシューズをはいてリラックス。ちょっと冷え込む深夜はエトロのシルク製ドレッシングガウンを着て、虫の音をサウンドにポール・ボウルズなんかを読みつついつの間にか寝落ち。起床は11時くらい。パジャマはそのままにくたびれたブルネロ・クチネリのカシミアパンツやジェイエムウエストンのクロコローファーをはいて、顔も洗わず新聞片手にプラプラと外へ。おっと、さすがにこれで外に出るのもなんだから、着倒したビスポークのツイードジャケットでも羽織っていこう。いつものカフェのオープン席を陣取って、カフェオレとクロワッサンのブランチを注文。新聞を読み終わったら常連のおじいさんと将棋を指したりして、気がつくともう夕方・・・。
あ〜、こんな生活、送ってみてえ!
実際の僕は長年染み付いたクセというやつで、足首にリブのついたスウェットパンツでなければ寝れないド庶民。しかもお腹が冷えやすいので、就寝前は「シャツの裾はパンツのウエストにしまいたい派」である。というわけで今までのは全部妄想なのだけれど、ドラマチックな生活に憧れるあまり、悲しいかな上に挙げたブツは全部所有しているのだ!
何年か前まではこのシャルべのパジャマシャツにテーラードジャケットを合わせるという、イスラム圏のオジさんをヒントにした着こなしを楽しんでいたこともあったが、最近はほぼ出番はなくなった。ただ時々、強烈にこれを着たくなることがあるので、手放すことはないだろう。といっても外には出ない。宅急便の方が僕の姿を見てギョッとする瞬間が、ちょっとだけ嬉しいのだ。
「オーダーしたからこそ馴染んだ」と思えたもの、そんなモノが男にはある。AMVERが選んだオーダー品はどんなものなのか。
買ったけれど着ない服、いまとなっては着ない服、袖を通すことができない服……。1900年初頭にフランスで作られたリネンシャツ、Trout manのシャンブレーシャツ、貴重なポパイのTシャツなど、AMVARたちの「着られない服」。
90年代のゴムバンド Swatch、織り糸に水を弾く機能を持たせたエピックナイロンのシリーズ、ウィリス&ガイガーのブッシュポプリン製サファリジャケット……AMVARたちの雨の日のスタイル
80年代リバイバルのアルマーニのスーツ、春の曇天にはぴったりな“グレージュ”、そしてデニム。AMVERたちが手にした春のセットアップ。