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STORY

手放せないセーター

2月から3月をまたぐ、この時期になると意識するのが「衣替え」。ショップ店員は2月半ばに春夏の洋服へ衣替えするが、今年は暖冬(年末くらいまでまぁまぁ暖かかった)だったので、冬物を手放すにはまだ惜しい。僕は基本的に冬服の方が好きだから。

となると、羽織るアウターがウールのダッフルコートからコットンのバルカラーコートに変わっても、中に着る「セーター」がやはり未だに愛しい。セーターって、最近は言わないのかな?でも、ここはやっぱりセーターと言いたい。ノスタルジアに流されているのかもしれないが、やはり「ニット」というと他人行儀(素材や組織そのものを意味するような気もするし)で「セーター」と言えば身近で、幾分か温かい心持ちになる。ちなみにイギリスではプルオーバーのセーターを「ジャンパー」ということが多い。

とはいえ、シェットランドウールのバサバサした質感はいかにも「冬物」で「春近し」という気がしない。ここで重宝するのがジーロンラムやカシミア素材などスムースな肌触りのセーター。写真は色とりどりGLENMACのスーパージーロンラムズウール、緑色のものだけ英国製OLD ENGLANDのカシミア。Tシャツの上から着用しても肌がチクチクしないので、スウェット感覚でデイリーに活躍する。日常使いという点で、毛玉になっても気にならないのが英国もの。気にならない、というより毛玉の先にしか見えない味があるという感じ。イタリア製の滑らかなセーターはやっぱり綺麗に着る方が似合う。英国産のセーターを毛玉だらけで着ると、妙にフランスの匂いがしてくる。古いもの好きなパリのムードだ。GLENMACはCHANELグループ傘下にある老舗(最近グループから離れたという話をどこかで聞いた)で、フランスブランドのニット製品を数多く手掛けてきた。

 ボトムが5ポケットだとしても、足元にレザーシューズを合わせることが多い僕にとって、やっぱり便利なのはスウェットシャツよりもセーターなのだ。スウェットの起源がスウェーター(Sweater)なのだから、当たり前かもしれないが、スウェットシャツ+スニーカーよりもセーター+レザーシューズという方が僕にはしっくりとくる。ともかく、スウェットシャツのように着古したセーターが僕は大好きだ。
この春はカラフルなセーターにチェックパンツやホワイトジーンズ、足元はスリップ・オン・シューズ+真っ白いソックス。セーターのインナーにはB.Dシャツではなく、久しぶりにコットンの鹿の子ポロでも着てみたら、ちょっと新鮮かもしれない。そんなことを考えながら、セーターを奥の方にしまい込むことができないままでいる。2020年3月の或る日。

Satoshi Tsuruta

International Gallery BEAMS Staff鶴田 啓

熊本県出身。1978年生まれ。1996年、大学進学を機に上京するも、法学部政治学科という専攻にまったく興味を持てず、飲食店でアルバイトをしながら洋服を買い漁る日々を過ごす。20歳の時に某セレクトショップでアルバイトを始め、洋服屋になることを決意。2000年、大学卒業後にビームス入社。新宿・ビームスジャパンのデザイナーズブランドを中心に扱うメンズフロア(当時)に配属となる。2004年、原宿・インターナショナルギャラリー ビームスへ異動し現在に至る。アシスタントショップマネージャーとして店舗運営にまつわる全てのことに従事しながら、商品企画、バイイングの一部補佐、VMD、イベント企画、オフィシャルサイトのブログ執筆まで手がける。ワードローブのモットーは「ビスポークのスーツからボロボロのジーンズまで」。趣味は音楽・映画・美術鑑賞、旅行、落語、酒場放浪、料理、服。二児の父。