となると、羽織るアウターがウールのダッフルコートからコットンのバルカラーコートに変わっても、中に着る「セーター」がやはり未だに愛しい。セーターって、最近は言わないのかな?でも、ここはやっぱりセーターと言いたい。ノスタルジアに流されているのかもしれないが、やはり「ニット」というと他人行儀(素材や組織そのものを意味するような気もするし)で「セーター」と言えば身近で、幾分か温かい心持ちになる。ちなみにイギリスではプルオーバーのセーターを「ジャンパー」ということが多い。
とはいえ、シェットランドウールのバサバサした質感はいかにも「冬物」で「春近し」という気がしない。ここで重宝するのがジーロンラムやカシミア素材などスムースな肌触りのセーター。写真は色とりどりGLENMACのスーパージーロンラムズウール、緑色のものだけ英国製OLD ENGLANDのカシミア。Tシャツの上から着用しても肌がチクチクしないので、スウェット感覚でデイリーに活躍する。日常使いという点で、毛玉になっても気にならないのが英国もの。気にならない、というより毛玉の先にしか見えない味があるという感じ。イタリア製の滑らかなセーターはやっぱり綺麗に着る方が似合う。英国産のセーターを毛玉だらけで着ると、妙にフランスの匂いがしてくる。古いもの好きなパリのムードだ。GLENMACはCHANELグループ傘下にある老舗(最近グループから離れたという話をどこかで聞いた)で、フランスブランドのニット製品を数多く手掛けてきた。
ボトムが5ポケットだとしても、足元にレザーシューズを合わせることが多い僕にとって、やっぱり便利なのはスウェットシャツよりもセーターなのだ。スウェットの起源がスウェーター(Sweater)なのだから、当たり前かもしれないが、スウェットシャツ+スニーカーよりもセーター+レザーシューズという方が僕にはしっくりとくる。ともかく、スウェットシャツのように着古したセーターが僕は大好きだ。この春はカラフルなセーターにチェックパンツやホワイトジーンズ、足元はスリップ・オン・シューズ+真っ白いソックス。セーターのインナーにはB.Dシャツではなく、久しぶりにコットンの鹿の子ポロでも着てみたら、ちょっと新鮮かもしれない。そんなことを考えながら、セーターを奥の方にしまい込むことができないままでいる。2020年3月の或る日。














