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STORY

CHANEL Mademoiselle Prive展 鑑賞記。



天王洲アイルの素敵な場所で開催されている『Chanel Mademoiselle Prive展』に家族3人で行って参りました。事前にLineの登録をし、アプリを入れてと何やら準備がございまして、いざ予約した15時からグループ単位で入場いたしました。

事前情報を全く見ずに行ったので、タイトルからきっと、カンボン通りの『ココの部屋』から生み出されたクリエイションの展示、更に言えばガブリエルシャネルのクリエイション展なのかなーと思っておりました。もし、これが通称、復活のシャネルと呼ばれる55年からお亡くなりになる71年までの後期黄金時代のクリエイション展だったりしたら  !

 1955年2月に発表された伝説のキルティングバッグ『2.55』のオリジナルの展示があったり  !  !  そして当時、ココのミューズだったマリーエレーヌ・アルノーを使ってくわえ煙草で仮縫いしたツイードスーツなんかが展示されてたら!!!多分期間中、ボクはチケットモギリのアルバイトとして潜入し、ずーっと眺めていたいと思った事でしょう。

さて、実際の展示はというと・・・すいません、あまりに最新のクチュールすぎてよく判りませんでした。ナレーションのココのイメージの源泉話と展示ドレスがあまりリンクしてなくて、刺繍工房の超絶さはよくわかりましたが、言われなければ、それがシャネルのドレスである事が分からない、ウーン、ボクのクチュールに対する修行が足りない、その一言に尽きるところだったんですね。お土産の特製ポーチを出口て頂き、ちょっとモヤモヤの残る鑑賞となりました。場内撮影OK、入場無料ときて皆さん鑑賞というよりはインスタ上げまくりな状況でした。これがSNS時代のハイブランドの展覧会&広告スタイルなんだなーとそこは納得いたしました。


いやいや、これだけでは終らないのが今回のChanel Mademoiselle Prive展 でして、別会場でカールラガフェルド監督のショートムービー上映会があったのです。

そこで観る事が出来たのが上のトレーラーの『The Return by Karl Lagerfeld』。2013年発表の24分足らずのショートストーリーで、スイスから戻り、パトロンが見つかって一念発起、名声を得るまでのココの数年間を描いているんですが、正直、男泣きしそうになりました。この様なココ・シャネルの人物描写を行った動画は今まで観た事ありませんし、このシナリオを許されるのはカールラガフェルド以外あり得ないでしょう。ココの弱さがテーマなのですから・・・。

晩年、名言放ちまくりのココでしたが、その裏でどれだけ苦しんでいたのか、強がっていたのか、そんな決して崩れるところまではいかずとも、スレスレの心理で突き進んでいたのか、ありのままの一人の女性をたった24分間で描ききっております。劇中使用された58年辺りのコレクションピースはオリジナルなのかカール監修のもと、作り直した衣装なのか?どちらにせよその衣装の方がよっぽどChanel Mademoiselle Prive魂に満ちてるんじゃないかと思います。

憧れのはるか上を行くクチュールやハイジュエリーの展示より、ココの体温を感じるクリエイションの扉を開けて下さる事をボクの様なファンは願っております・・・。この映画の満足度が1200%だったのでホントに気持ちのよい日曜日となりました・・・。
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。