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STORY

Robert Frank: Books and Films,1947-2016 in Tokyo 本日、雪の最終日。


Robert Frank: Books and Films,1947-2016 in Tokyo

友人からの興奮したメールで開催を知ったこの展示。 全く内容の前情報なしの状態で行って参りました。もう、2重、3重と張り巡らされたメッセージ。これからの美術展示のあり方を問い直す・・・そんなメッセージ。

要点をかいつまむと・・まず、すべて最後にはゴミとして処理する前提での展示であること。歴史的名作写真を新聞用の紙に刷るということ。その印刷を世界で最も美しい本を作ると称される Steidl が担い、フランク本人が監修であること。プロの展覧会プロモーターではなく、芸大学生のアイデアを織り交ぜた展示アプローチであること。入場無料、図録(新聞形式)500円であること。ドキュメントタッチのロバート作品は、新聞用紙との相性は格別。この雰囲気を喜ぶのは、ファッション系のアートディレクターで古くはコムデギャルソンの『 Six 』とか。

ただ、写真自体がボケ、荒れ、高コントラストの3重苦でマットペーパーに刷ったらすべてのディテールは潰れてしまい、色は深く沈み込んでしまう。ここで Steidl パワーの登場で、なにやらのクリアーを引いているのか一度なんらかのを処理しての印刷なんでしょうね。欲を言えば、コーティングの光沢を潰せればもっと新聞の臨場感が出たのにな、とも思いましたがぱっと見わら半紙にこんな美しい印刷が乗っているという驚きで、まずは衝撃を受けました。

ポスター状に刷られた写真を、あえて壁やボードに貼らずに裏に空間を持たせているのは、液晶と同じ原理で裏からも光を感じることで濃色写真の細部のディテールを起すアイデアなのかな? もうとにかく素敵すぎて格好よすぎて、無料で、使い捨てで、館内撮影OKで、歴史的な芸大の館での展示で、最後に捨てちゃうんだろーなーという儚さと、それを支える世界最高クオリティーの印刷技術。高いお金をとって規制だらけの日本の美術展覧会、今後どうするんっすか?
Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。