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AMVAR が選ぶ、今ちょうどいい Amvai Item - 2017年5月After The Party. 宴の後で・・・。ドンペリ・コルクのネックレス

今夜のパーティーもそろそろ終わる。ソファから立ち上がるとつま先に何かがあたった。『コロン、コロン・・・』薄暗いフロアへ目を凝らすとそれはシャンパンのコルク栓だった。そこにはDom Perignon 2006 の文字。フ~ン、流石はドンペリ、2006年製か・・・。普通のシャンパンはラベルやコルクに製造年度の記載をしない。しかしドンペリ辺りから上のランクとなると畑を限定している為、ぶどうの当たり年にしか仕込まないんだ。だから生産年、本数が限られる。したがって年号入りのシャンパンブランドは得てして高価となる訳だ。俺はソファに深々と腰を落とし目を閉じた。すると2つの記憶、そして2つの思いが頭をよぎった。ちょうど2000年を迎えた頃、マルタン・マルジェラの恵比寿の直営店でこんなシャンパンのコルクに白いシルクサテンのリボンを通しネックレスとして顧客に配っていた。オープンした当初のマルジェラ直営店では必ず定期的に真っ白いアイテムをブランドのアイコニックな小物として決して高くない価格で販売していたんだ。白くペイントされたエマニュエルチェアのミニチュアから端を発し、大きな白い羽根ボールペン、白いランプシェードなどなど。そんな流れの中の1つとしてシャンパンコルクネックレスもラインナップされていたのだった。当時の白衣の店長曰く『ミレニアムを迎え、至る所でパーティーが開かれ、そしてシャンパンの号砲が轟いています。そこは必ず楽しい場所なのです。悲しい時には誰も栓は抜きませんよね。だからパリ・マルジェラサイドで必ずハッピーな場所に寄り添うコルク栓をアクセサリーに作り変えることを思いついたのです。』なるほどなー。造形物的にもかわいいしなんともマルジェラ的な逸品だなーと当時、俺は感慨しきりだったんだ。そしてもう1つ、2006年頃って世の中的には軽くバブル景気が再燃していたように思う。しかしこの後、2008年リーマン・ショック、2011年震東北地、2016年熊本地震と重く受け止めなければならない事が続くこととなった。今思えば2006年辺りは幸せの泡に満ち溢れていたように感じるのは俺だけではないはずだ。かくして俺は白衣の店長の言葉とおり、この2006年ドンペリ・コルクで、喜びの泡が皆を包み込む事を夢見てネックレスを作ってみたんだ。日本に大きな悲しみが訪れる前に仕込まれた幸運のシャンパン。そのボトルを飲み干したのは誰だか分からない。だが、こんな当たり年のゴールドの泡で乾杯した人にはこれから大きな大きな幸せがきっと訪れるはずだ。そしてその幸せを11年間封じ込めていたこのコルク栓はどんなお守りよりもきっと強い。だから当分は俺の胸に・・・。暗闇で拾った幸運をね。