釣った魚は食べるが基本だったので、我が家の食卓には焼き魚、煮魚、刺身など魚料理が並ぶことが多かった。幼少期は魚より鶏唐揚げやハンバーグが食べたいと思っていたけれど、今思うと最高に贅沢な夕飯だったことに気づいたのは上京した後だったな、、、
この10年ほどは、母の目も手先も鈍くなり、小さい魚を捌くのも食べるのもシンドイらしく、釣った魚が小さい時は、釣り場にいる釣り人に配っている。小さい魚は身が締まって美味しい!というのが母の口癖だったので近年は悔しい思いをしていたのかもしれない。
これまでに数回、親父の釣りを見たくて港の堤防に行ったことがある。親父は釣りのセンスが良い。
手際が良くて、切り替えが早い。海釣りってゆっくりしているようで意外に忙しいんだな〜〜とその時、親父の一連の釣り動作を見ながら思った。自分はというと海釣りするわけでも無く、ただボーっと波に漂う浮きを見ているだけで酔ってしまい。しまいには堤防で寝いってしまった。海、波、揺れへの拒否反応はどうしようもない。
親父とは対照的にリリースする釣りに傾倒したわけだけど、先輩に同行した芦ノ湖のボートの釣りでも、湖の自然なゆらゆらに酔いしれて、完全に渓流専門の毛針専門になってしまった。
対照的な事がもうひとつ、親父は道具や格好に拘わる事なく、仕掛けやテクニックの釣り人。自分はというと格好や道具から入ったイメージ重視な釣り人。(笑)
フライフィッシング歴は10年以上なのに全く上達しない。(苦笑)
なのにシーズンになると妙に渓流熱が高まってしまう。下手の横好きとは良く言ったもんだ。
一時期は着用しないフィッシングベストがハンガーラックを占領し、作りもしないのに立派なタイイング(フライを作る)セットがデスクを占領していた。そして極め付けがこのシャツ。
Trout man
シャンブレーシャツ。
それも未使用品。俗に言うデッドストック。
ラベルにプリントされた釣り人、鱒が跳ねた瞬間の水飛沫が泣かせるでしょ〜。
アメリカ製好き、シャンブレーシャツ好きでフライフィッシング好きなら買うよね。そして着ないよね。いっとき色んなイベントで販売してみたけど、売りたい値段じゃないんだよね。売りたくないんだよね。
分かってもらえるかな、この感じ?
わかんねーだろうなあ〜〜
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