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魅惑の鞄マルチ過ぎるポケット

僕は鞄を持たない。「まったく」持たないとまでは言わないが「ほぼ」持たない。今までデザインを気に入って買った鞄も結局ほとんど使わないままになってしまうから、最近では買うときもかなり慎重になる。何故持たないのかって、手ぶらが好きだから。〝ものぐさ〟な僕は手に何か(例えば傘や紙袋)を持つこと自体がメンドクサイらしい。昔、初めてバイヤーに同行して展示会へ行ったとき「えっ?手ぶら?メモとか取らなくて大丈夫?」と、「ナメてんのか?」をオブラートに包んだ口調で揶揄されたものだ。当たり前だよ(笑)。じゃあ、手ぶらになれるバッグは?といえば普通はショルダーバッグやデイパックということになるのだが…僕の場合は「ポケットの多い服」。2014年に Rick Owens のコレクションを見てひらめき、すぐに買ったのが Patagonia のフィッシングベスト。できるだけダサいヤツがいいと思っていたので、まったくファッションナイズドされていない普通に釣り用、当時の現行品を8000円くらいで入手。今でこそ(2017年秋冬ごろから)「ユーティリティ」の名のもとに一般トレンド化し始めた「ミリタリーやアウトドア(フィッシング含む)のマルチポケット付アイテム」だが、当時はまだ早すぎたのか会社に着ていくと「えっ?釣り?」と戸惑いの声多数。イヤイヤ、こっちは Hussein Chalayan のつもりだっつーの。また、2016年に購入したのが renoma のマルチポケットブルゾン。CLASSのデザイナー堀切氏がディレクションしたモデルで、アンディ・ウォーホルが1982年に北京を訪れた際に着ていた renoma を復刻したもの。携帯も文庫本もサングラスもパスケースも大体の持ち物はポケットに入る。もはや「着るバッグ」。こうしてたくさんのポケットを手に入れた僕は、悠々と手ぶらで街を闊歩。改札の前で何処にパスケースを入れたんだか分からなくなり、多すぎるポケットをあちこち探りながらマゴついていると後ろの人に舌打ちをされる、など。過ぎたるは及ばざるが如し。