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俺が想うデニム青い抜け殻。

この青い抜け殻達はボクが21歳から29歳までの9年間に穿いていた501XX及び66の古着である。大半が約30年前、パリで買った物で、一部は前々職の南仏カルカッソンヌに本社のあった『Chipie』の企画時代、本社の仲間から譲ってもらった物も数本ある。90年代初頭、それにしても20歳代のボクは細かったんですねー。特にちゃんと働く前の23歳までは32インチでゆとりがありました。では、ボクがデニムを穿き出した80年代中盤から最近までのデニムと着用者の関係性について簡単に・・・。
まず80年代中頃、ボクは文化服装のデザイン科で世の中はDCブーム全盛、学院中コムデ・ヨージで真っ黒でした。その中でも元祖下北・高円寺系の古着MIX派の面々は501古着をサイズアップしてベルトで締め上げ、ほぼジャストウエストで穿いてましたね。ヴィヴィアン、ミルク、ツバキハウス、ロンドンナイトの住人達です。レングス短めで安全靴のトゥの革を剥がしてスチールを出す「ゴルチェ靴」を自作して合わせるのも流行ってました。決まってソックスは赤でした。卒業後の92年まではパリ放浪時代。この頃はやたらとジャストなサイズで穿いていました。パリジャン風着こなしをリアルアメリカンヴィンテージで!なんてボクらの間ではジャスト寸のXXにウェストンなんかを合わせて穿きまくっていました。日本ではフレンチデニムブームで、それこそシピーやシェビニョン、ボール・クローズド、リプレイなんかが流行り始めてたはずです。この時期のフレンチデニムのラインナップは超今っぽいシルエット。ビッグサイズのGジャン、バギーデニムとかね。でもあまのじゃくなボクらはチェット・ベイカーやマーロン・ブランドにならってXXジャスト履きでした。そして帰国。92年当時、雑誌Boon全盛期で東京は空前のヴィンテージブーム&渋カジブームの嵐。若人達の夢はXXの所有でしたが、流石にままならず、サイズの巨大すぎるもの、501品番以外の物、517ブーツカットとか、この辺をなんとかカッコ良く穿けないかと試行錯誤しましたっけ。古着の都合に人間が合わせる時代とでも申しましょうか・・・。
そしてエアマックス96あたりの時代感をピークにストリートから、なんとなーくヘルムトラングのラングデニム、マルジェラのアメカジ解釈服が熱く思える世紀末到来でモードデニムという選択肢が生まれました。この方々は結構ビタビタで穿いてた記憶があります。そして2000年を越えると LEVI'S RED 登場でデニムの形自体の新概念が生まれ、立体裁断パンツなどという文化の学生からすると意味が違うんじゃね?とも思える、たためないジーンズ大ブレイク、そしてエディースリマン・ディオールオムの超人的スキニー時代がこの後10年近く続きましたよね。そしてこの数年来のリメイク&90年代ブームに乗ったビッグサイズデニムブームかなー。結論から言うと90年代中頃のヴィンテージ軸をぶらさずサイズの歪んだ服を何とかコーディネイトしようと頑張ったインポート時代が一番着る側もクリエイティブだった気がします。今は世界の服が日本人体型に合わせて運ばれてくる時代ですもんね。これもあまのじゃく的にはちょっと退屈なんだなー。