あの衝撃は今でも憶えている。かつて、ボクなりに定番マイブームがあり、本当に世の中から良いと言われている物を今のうちに総本山たる本店で買い集めると言うライフワークを思いついたのが2000年の春だった。手始めにバーバリーのトレンチに的を絞り、ロンドンに向かった。「もう30年選手だなーコレ!」なんて目を細めながら将来ブッこく準備の為のあざとい仕込みである。ボクらの世代、コットン製のコートと言えば、80年代〜90年代のフレンチシックブームのスタカン、ポールウェラーのステンカラーコートがイメージアイコンであり、パリっぽい着こなし=バーバリーorアクアスの古着スプリングコートがスタイルとして刷り込まれていた。とは言え、このコート2大ブランドのトレンチは古着と言えどもそこそこのお値段で80年代、パリの蚤の市で安い店でも800Fr(1,6000円)はしていた。Levis501 の66が200Fr(4,000円)の時代にして、なかなか勇気の要る買い物であったと記憶している。予算が無い場合、ロンドンフォグというブランドの古着が大量に出回っていて『逆にスノッブなんじゃね?』なんて負け惜しみを言いながら買った記憶もある。全てのコート古着に言えることなのだが、メンズであれば下にテーラードJKを着る想定なので肩が尋常で無いフォルムになってしまう。大抵買って来ては裏地をラグラン線の所でほどき、肩先のポッコリしてしまう袖山を縫ってなだらかにする処置を施した。とたんに着にくくなるのだが、銭形警部とバカにされたくなかったらこれをするしかないのだ・・・。そんな涙ぐましい古着コートでの修行期間を経て、ボクはロンドン、リージェントストリートのバーバリー本店前に今、立っている。実はロンドン本店における定番トレンチの定価なんて全然知らなかったが、免税すればなんとかなる!位の軽い気持ちでいざ店内へ。いやいや、重厚な内装、デカいサイズのディスプレイに圧倒されながら(時代はディオールオムの流行り始め!)トレンチコート売り場到着。ボクは売場のスタッフに購入の意志を伝え、サイズをお任せで見立てて貰う事に。古着じゃない新品屋さんの総本山で、店のセールスのプロがボクのサイズをどう見立てるのかがむちゃくちゃ興味があったのだ。そして彼いわくの「貴方のサイズ」は到着した。おもむろに袖を通し鏡に映る自分を確認した。そこに立っているのは・・・天知茂。そう、明智小五郎役の天知茂だった。なんとも顔が大きい。この鏡はおかしい。くたびれていない新品のコットントレンチってこんなにバッキバキなんだ・・・。ポールウェラーなら、サラリと越えてしまう老舗の壁。どうやらボクはリージェントストリートを昭和色に染めちまったようだ・・・。
REVIEW
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