Fit in Passport に登録することで、あなたにフィットした情報や、Fit in Passport 会員限定のお得な情報をお届けします。

ページトップへ

偏愛コーデュロイ素材の匂い

コーデュロイの語源はフランス語の「Corde du Roi」らしい。「Corde」=「畝」、「Roi」=「ルイ王朝」なのでルイ14世の時代から宮廷内で庭師の作業着素材として広まった、とされている。本当だろうか?諸説あるだろう。あまり興味は無いけど(笑)。で、フランスからイギリスへ伝わり英国貴族のカントリーウェア用素材として重宝されるようになるコーデュロイ。貴族ウケが良いのもなんとなく分かる気がする。頑丈な割に独特の光沢や滑らかさがあるから。組織は少し違うが、ベルベットの仲間でパイル織物だ。英国の後はアメリカ(IVY)を経由して日本へ伝搬されコール天と命名される。元は作業着用なのにどことなく上品な匂いがするのは、フランス生まれというルーツのせいだろうか?スーツやスラックスなど、通常はウーステッドのアイテムをコーデュロイ素材で作るとスポーティな印象だが、例えば5ポケットのパンツをコーデュロイで作ると、デニムよりも上品な印象になる。つまり、スポーティとドレッシーの間に位置する素材、という感じ。カツラギ以上、サキソニー未満、みたいな。僕が愛用しているコーデュロイアイテムは Marcel Lassance のスクールスカーフ。英国製のチクチクする紡毛素材のものより滑らかで軽く、発色が素晴らしい。4~5年前に90年代のデッドストックを前淵さんの店で格安入手。季節の合間に重宝している。また、FROM 1-stビル地下にあった古着屋「Archive&Style」で10年前に買った Dickies874。コーデュロイ素材は珍しいかな、と思いこちらもデッド品の30×34を安値で入手。Dickies の儀式、ウエスト後ろ部分に畳み込んである余り生地を開いて2インチアップ、腰で穿いていた。ウエスマンについていたフラッシャーのシツケ糸がこれでもかってくらいに強く、紙ラベルだけ剥がした結果、いまだにマ○ジェラみたいに4本ステッチが残ったまま…。そういえば、2ヶ月くらい前に観た映画「エヴァの匂い」('62)で悪女モローに翻弄されるスタンリー・ベイカーが冒頭のシーンで着ているコーデュロイの上着が格好よかった。大きなパッチポケットが3つ付いて、襟型はカバーオールみたいなワークスタイルだけど、袖付けなどを見る限り完全なテイラーメイド。タイドアップもキマッている。どうやら、コーデュロイという素材は折衷的なアイテムや着こなしにマッチするらしい。この映画で粗暴だけど女々しい作家役を演じたベイカーに道理で似合うはずだ。