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夏の盛装蘇る半袖

今回は「夏の盛装」というテーマ。とはいえ最近では日本の夏も亜熱帯に近づきつつあり、滅法暑い…。で、昨年の夏くらいから僕の洋服ダンスの中で再評価の機運が高まりつつあるアイテム、それがTRUSSARDIの半袖スーツ。厳密に言うと、肩パッドもポケットもないシャツ型なので羽田・元首相が着ていた「ホントに半袖のスーツ」とは作りが随分違うのものの、素材は杢調グレージュ/強撚系のドライなサマーウール素材で、まさに夏のスーツ地。インナーをタイドアップすれば立派な「半袖スーツ」に。この珍品、リリースはクラシコイタリア隆盛の1997年ごろ。当時の TRUSSARDI と言えば犬マークのライセンス品が横行する、所謂「イタリアンブランド」というダサいイメージ。ブランド刷新のために自国外からデザイナーを招聘し、モダンにリニューアルを図っていた頃だ。今では当たり前になったリブランディングの手法だが、先駆け過ぎて当店で取り扱い始めたころは「えっ?TRUSSARDIってあの犬マークの?」という感じでスタッフ間でも戸惑いの声多数だったらしい。キワ過ぎて(早過ぎて?)、セールスも振るわなかった。20年後の今、見直してみると不思議とイタリアンな匂いが全くしない、60's調のモダンデザインに見える。ピエール・カルダン的フランスの香りすらしてくる。それもそのはず。当時は非公開情報だったらしいが、デザイナーはニコラ・ゲスキエールだったのだ。自然とコーディネートもスモーキーな配色でおフランスな感じに。Givenchy (リカルド・ティッシ以前)の半袖シャツに LANVIN のシルクタイ、Lip のレトロフューチャーな時計、DRKSHDW (Rick Owens) × EASTPAK のポーチ、Made in Franceの70'sサングラス…。気づいたら見事にフレンチブランドばかりだったので、足元はワイン色のアディレッタで抜いてみる。1979年、第二次オイルショックを受けて大平内閣の時代に登場した元祖クールビズ=「半袖の背広」は、90年代に羽田内閣による省エネスーツ再提唱時にも一笑に付されてしまった。70's、90'sがリバイバルする2010年代、三度目の正直で遂に流行るか?半袖スーツ!いや、やっぱ無理でしょ(笑)。