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STORY

8年前の食レポ in N.Y Katz's Delicatessen の超絶・悶絶パストラミサンド『知る不幸』

先日、弊社オフィシャルサイト内を整理してたらポロリと出てきた過去記事で、あまりにも美味しそうな、というか美味しかったN.Yグルメツアーのドキュメントです!ではどうぞ・・・。


『今まで世界各地でどれほどの牛肉料理を食べてきただろう?そしてこの日の朝、全く未体験の赤身に出会ってしまった。パストラミと言うと、周りに粗引きのこしょうがくっいたユダヤのハム、そしてアメリカでオーダーするとありえないほど挟まってくるポパイの友達が食べてそうなやつ、位の認識であった。解説しよう。まず、KATZSに入店すると左側にレジカウンターがあり、人数を告げる。そしてめざす食材をあつかうカウンターへ向かい、オーダーする。われわれはパストラミサンドを2つ頼んだ。


男は軽くうなずくと背後のステンレスの暖かい液体の入った容器から真っ黒いなまこの様な物を巨大フォークで取り出しまな板の上においた。これがパストラミの肉塊だとは到底思えなかった。男は刺身包丁のようなナイフで手際よくスライスし始めた。真っ黒の表面と対照的な真っ赤な肉の断面が見えた。ここで大抵のオーディエンスは声を出す。〔オーうまそー!〕そして男は小皿に2枚の肉を載せ試食させてくれる。ショックだった。見た目はローストビーフであり、口に入れた瞬間コンビーフ的に溶けていく気がした。明らかに肉塊のスライスなのに歯で噛んだ気がしないのだ。そして鼻から抜ける肉のうまみと共に口の中から消えた。レアのサーロインともまた違う食感だ。パストラミの製造プロセスを全く知らないので今後勉強したいと思う。表面の黒い部分は香辛料ではなく意図的にこがしている味もしなかった。これはハムなのかローストビーフの変化球なのか、とにかく肉汁が120%封入されたうまみと共に解け落ちる赤い塊としか言いようがない。開高 健氏の言うまさに「知る不幸」だ。赤身牛肉のハードルがまた上がってしまった・・・。』(2011年3末N.Y渡航時の SLOWGUN BLOGより。)

Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。