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STORY

現実の旅インド【5】 まさかの...


デリーからジャイプールへ。写真はジャイプールの朝焼け。

デリーとジャイプールの街中での移動はUber、たまにオートリクシャーというエンジン付き3輪車。
昨年はUberなのに現金決済だった筈が、今年はカード決済が出来るようになっていたので更に便利。


いよいよ、昨年2月に作製依頼したサンプル生地のお迎えに彼の事務所へ向かった。
到着すると、満面の笑顔でようこそ〜だって。社交辞令として仕事は順調ですか?と尋ねると、とても良いです!と自信満々の笑顔。大胆にも程がある。。

・ブロックプリントを依頼した工房とのやりとりの経緯はこちらの記事から

早速本題のサンプル生地の件を聞くと、なにやら従業員に指図している。しばらく待つと従業員がリーフマークのインディゴプリント生地のハギレを持ってきた。


おもわず、オーッと発しながらまじまじとハギレのプリント具合をチェック。
これだよ、これだよ。これを待っていたんだよ。ちょっとした感動に浸りつつ、
彼に何故スクリーンプリントに変えたのか?と聞くと、柄が綺麗にプリントされないから、、、という返事。こちらの要望はブロックプリントなんだけど!と切り返してみると、そこから無言。。。

あっ、これは何を言っても無駄だなと思いながらも、私が頼んだプリント済の20mはどこにありますか?と尋ねると、先ほどの従業員と再び話しをしている。しばらく待ってみたが、また無言。。。

きっと出来上がっているけど、探すのが面倒なのか、紛失したのか、はたまた作っていないのか?
などと思いながら、卸売用のブロックプリント生地を買いたいと申し出るとビルの2階のショールームに案内された。

部屋全体に綺麗に積み上げられたプリント生地を指しながら、ここにあるのは、全てブロックプリントだから、欲しい分だけ買っていいよ。と更に自信満々の笑顔で営業された。
色とりどりのプリント生地は10m ほどにカットされ綺麗に畳まれた状態で積み上げられているので、畳んだ状態の側面で色柄を判断し従業員に取り出してもらう。

ひと1人が通れるほどの通路の両側に積み上げられた生地の壁をくまなくチェックしながら、いくつかのプリント生地を取り出してもらいながら、ふと目に飛び込んできたのが、まさかのリーフマークの一部、アレ!俺の生地じゃん!と今度は吠えた。よーく辺りをチェックしてみると、リーフマークがいろんな断面から出てくる出てくる、もう目が点になって言葉が出なかった。

この部屋にあるプリント生地は全部ブロックプリントって言ってたよな?!なのに俺のリーフプリントはスクリーンプリントでしょ?なのにブロックプリントの中に紛れているって一体なんなんだろうと思いながら、彼の顔を見ると、全く動じていない。

うーむ、これがインドの洗礼か!
と思いながら、くまなく探しだしたリーフプリントを全て救出。ちょっとした達成感だったなあ〜。
お会計のあいだ熱々のマサラチャイを何杯かいただき冷静にこの事務所で起こったことを振り返ってみたけど全く理解出来なかった。そして彼の顔をまじまじと見てみたが全く動じていない、全く悪ぶった様子もない。これがインドなのか?
本当の“修行”は始まったばかり。


生地屋街の通りでは、ウエディングセレモニー
色とりどりで華やかなサリーを身に纏った女性達。

つづく。

<現実の旅インド、これまでの記事>
現実の旅インド【その1】
現実の旅インド【その2】
現実の旅インド【その3】
現実の旅インド【その4】
<インドへの旅、そのきっかけは?>
妄想から現実の旅インドへ1
妄想から現実の旅インドへ2
妄想から現実の旅インドへ3
妄想から現実の旅インドへ4
Kenichi Kusano

KENNETH FIELD Designer草野 健一

1969年熊本生まれ。ビームス プラスのディレクターを務めたのち、2012年より自身のブランド「KENNETH FIELD™(ケネス フィールド)」を始動。「For NEW TRADITIONALIST」をコンセプトに、アメリカントラディショナルを多角的にアップデートしたアイテムを提案する。2014年まで「バラクータ ブルーレーベル」のデザインを担当。2014年には「ルウオモヴォーグ」と「 GQイタリア」が主催する新人デザイナー「THE LATEST FASHION BUZZ」に選出される。