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STORY

藤田嗣治 本の仕事 文字を装う絵の世界展(ボクもこれからはセーヌ川をセイヌ川と書こうかな〜。)

いやー、久しぶりに美術館で血潮が燃えたぎりました!今月10日までの開催なので緊急投稿です。お題目は『没後50年 藤田嗣治 本の仕事 文字を装う絵の世界』展でございます。場所は目黒区美術館。 藤田嗣治が携わった本の挿絵、装丁の原画だったり限定出版(エディション100前後!)されたオリジナルのレア書籍などを大きく3つの時代に分けての展示。エコールドパリ中心のフランス期、一時帰国しての日本での仕事、従軍画家期は省いて戦後フランスでの仕事期とこの流れ。

挿絵って素描っぽさが基本で、いわゆる描き込まない、塗り込まないことが前提なんですが、これがFOUJITAにかかるともうれっきとした芸術作品。その必要な余白感を木版やエッチングなどプリミティブなテクニックでふわっと表現しているんです。なぜなら本である以上、もうひとり文章作家という共同作業者がいる訳です。なので絵と文のパワーバランスが重要になると思うんです。引き立てあうとでも言うか・・・。挿絵とは、読者に対し、文字の世界観をさらに飛躍させる、イマジネイションを与える物でなければなりません。なのでFOUJITAのこの辺のバランスが神の領域で、結果、出来上がった本はそれ自体が持ち運べる芸術作品となるんです。

やはりFOUJITAやジャン・コクトーの様な存在自体が洒落ている面々が繰り出す「センス」や「エスプリ」「ユーモア」と言う名のひと筆にはもうため息しか出ません。
かの天才ピカソですら「コクトー達のエコール・ド・パリ チームはいつも賑やかでいいなーっ!」と彼らの遊びのセンスに嫉妬していたなんて逸話もあるくらいですから・・・。(むろん、ピカソの挿絵も最高でした。)

今年の夏休み、我が家は家族でオランダ・アムステルダム、アントワープ・ブリュッセルと美術館&蚤の市巡りに行って参ります。ブリュッセルの駅裏露天マーケットあたりで、そんなFOUJITAのオリジナルの装丁本や挿絵入り雑誌なんかに巡り会わないかな〜なんてね。オリジナルのオーラはシッカリ眼に焼き付けましたので・・・。

目黒区美術館の展示は10日までです。お時間がございましたら是非!オススメです!


 

Manabu Kobayashi

Slowgun & Co President小林 学

1966年湘南・鵠沼生まれ。県立鎌倉高校卒業後、文化服装学院アパレルデザイン科入学。3年間ファッションの基礎を学ぶ。88年、卒業と同時にフランスへ遊学。パリとニースで古着と骨董、最新モードの試着に明け暮れる。今思えばこの91年までの3年間の体験がその後の人生を決定づけた。気の向くままに自分を知る人もほぼいない環境の中で趣味の世界に没頭できた事は大きかった。帰国後、南仏カルカッソンヌに本社のあるデニム、カジュアルウェアメーカーの企画として5年間活動。ヨーロッパでは日本製デニムの評価が高く、このジャンルであれば世界と互角に戦える事を痛感した。そこでデザイナーの職を辞して岡山の最新鋭の設備を持つデニム工場に就職。そこで3年間リアルな物作りを学ぶ。ここで古着全般の造詣に工場目線がプラスされた。岡山時代の後半は営業となって幾多のブランドのデニム企画生産に携わった。中でも97年ジルサンダーからの依頼でデニムを作り高い評価を得た。そして98年、満を持して自己のブランド「Slowgun & Co(スロウガン) / http://slowgun.jp 」をスタート。代官山の6畳4畳半のアパートから始まった。懐かしくて新しいを基本コンセプトに映画、音楽等のサブカルチャーとファッションをミックスした着心地の良いカジュアルウェアを提案し続け、現在は恵比寿に事務所を兼ね備えた直営店White*Slowgunがある。趣味は旅と食と買い物。