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2021の自分的流行DOUBLE FANTASY

昨年末から、ジョン・レノンの『HAPPY CHRISTMAS』がずっと頭を離れない。

例年ならば、雪と戯れるマライアキャリーやJR東海の初々しい牧瀬里穂のイメージなんかと中和され、賑々しい年末のオードブルになっていたのだけれど、この冬はそうはいかなかった。

ソニーミュージック六本木ミュージアムで開催の「ダブル・ファンタジー ジョン&ヨーコ展」を観た影響はあるだろう。貴重な品々と共に二人の活動を振り返る事ができる贅沢な展示だったが、会場から売店、そのグッズ類も全て白と黒で統一されたミニマルなコンセプトで、ジョンとヨーコの表現にとてもマッチした緊張感ある空間だった。

そのイメージは「WAR IS OVER! IF YOU WANT IT」の有名な看板広告を想起させる。白地に装飾性の無い太字フォント。シンプルな言葉の奥には、確かな希望と強烈な皮肉が共存している。ご存知の通りこの言葉は、前述のクリスマスソングの中で繰り返しコーラスされる歌詞でもある。文字通りHAPPYな耳障りのよいメロディーの合間に、「戦争が終わらないのはそれをする人間が望んでいるからだ」と逆説的にもとれるメッセージ(自分はそう解釈している)が織り込まれる事で、この曲はたちまち私の心を揺さぶり始めるのです。

さて人類の歴史の中で、今の世界はどのような位置づけになるのだろうか。終わりの始まり?それとも更なる未来への転換期なのか。

信じられない事が起こっているような、実は何も起こっていないような現実と、矛盾だらけの政治やメディア。そしてネット上には飛び交う陰謀論。終わりの見えない不安定な日常が続く中、「新しい生活」という言葉でなんとか自分を誤魔化してゆく。そんな私にとっては、今ふたたびジョンとヨーコのメッセージと生き様が心に響く。

世界一のアイドルから実験的なアーティスト、はたまた内省的な詩人へと変貌した男と、財閥の超お嬢様から世界的にもエッジィな芸術表現への道を選んだ女。その知名度を利用し平和運動をし、時には袋を被って匿名性を訴え、ニューレフトの活動家に混じってデモ活動をし、NYのローカルバンドから一流プロデューサーまで垣根なく仕事仲間をつくり、最終的には妻が仕事、夫が家事育児をするという当時ではあり得なかったろうライフスタイルを獲得。時には失敗や不貞に足を滑らせながらも、思考停止せずにあらゆる行動を模索した二人の生き方は、全てが激動の時代そのものであり、今の世の中をサバイブするためのヒントとなるのではないか。

画像は「ベッドイン」のパフォーマンス時に掲げたスローガンをクッションカバーにしたもの。ダブルファンタジー展で購入。メッセージ性のある ”おこもりグッズ” と言えるだろう。

「戦争をするかわりにベッドで過ごそう 髪を伸ばそう 平和になるまで」。一向に事態の収束が見えないこの状況で、私は居心地の良い “座り込み” を続けていく。