Fit in Passport に登録することで、あなたにフィットした情報や、Fit in Passport 会員限定のお得な情報をお届けします。

ページトップへ

部屋を片付けたら出てきた、懐かしのあのアイテムぼたんあそび③

在宅。これを機に部屋を片付けた。主に衣装部屋を。普段から要らなくなった衣類は後輩にあげたりしてきたので、処分すべきものは意外となかった。着手したのは引き出しの中にゴッソリと溜め込んでいたパーツ類。袋に入ったまま放置されていた替えボタンや残布の類いを片っ端から捨てることにした。Tシャツ+スウェットを日常着にしている人に比べ、シャツ+ジャケットが普段着の僕は替えボタンをかなりの数持っていたらしい。片っ端からとは言ったものの、一応袋の中身を改めて見る。7~8割はなんてことない既製のボタンだが、残りの2割は滅多に見かけないorオリジナルで作ったであろう珍しいボタンが混じっている。結果としてざっと200個あったうちの150個を捨てて50個ほどを残した。自分で商品企画をするときにボタンや裏地のチョイスにはかなり気を使うので、世界のデザイナー達が選んだパーツを改めてまじまじと見ながら感慨に耽る。Massimo Piombo、EMiLiANO RiNALDiなど服地にこだわるブランドのボタンはやはり凝ったものが多い。Pierre Caldinなどの'60sデザインにきっと影響を受けたであろうEMiLiANO RiNALDiはスケルトンなプラスチックボタンや25mm径の巨大なスナップボタンなどレトロフューチャーなテースト、ヴィンテージ好きのFlank Lederはベークライト素材や手染めリネンで巻いたくるみボタンなどスリフト感溢れるもの…といった具合にパーツ類に至るまで自らの世界観で統一されている。15年前にベルリンのショップで買ったBLESSのボタン型ブローチ(写真中央)もひょっこり出てきた。極めつけはAlexander McQueen。本人期のコレクション2008A/Wのオーバーコート用ボタンはメタル素材の周りをラバーで包んだもの(写真中央ベージュ色)。ネオプレンや止水ジップを多用した近未来的なコレクションのシーズンだった。このコートを着ている冬場にボタンを触るとネットリとしたゴムの奥にある金属のひんやりと冷たい温度を感じていた。引っ越しの荷造りで見つけた卒業アルバムのように、手触りと共に甦る思い出があったりして。こうして部屋の片付けはやっぱり遅々として進まないのである。