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育てた/育てたい秋冬アイテム着たきり雀養成ギブス・AUBERGEのハンドフレームニット『NEST』

ちょっと前にフランス人は10着しか服を持たない云々と言う本が流行ったそうで、ボクも最近になって書籍通販サイトの口コミ経由で内容を把握させて頂きました。まぁ結論からすると、フランス人の人生に於ける最終目標は俺式、わたし式の確固たる構築であり、内面から滲み出る俺オリジナルの皮膜が全身を覆い尽くす事こそ自身のファッションと思っていらっしゃる方々なんだと思うんです。だから、洋服の力を借りで少しでもお金持ちに思われたいとか、いいとこの御曹司と思われたいなんて下心は毛頭ない。自分の良いと思うもの、俺式を助長する可能性のあるくせの強い相棒を吟味に吟味を重ねて選び出す行為こそが、たまーにする買い物。あくまで興味の矛先は自分であって物ではない。しかしパートナーとしての重要度は理解しているので適当に大切にしながら、距離感を持って付き合っていくのがフランス式である!と・・・・・。

故に今回のお題を、物が主役の日本人的に考えるか?(バブアーの油を足したりコードヴァンを磨いたり・・・)フランス的に考えるか?(俺色になるのはどれだ!?)これにより選ぶ物が全く変わってきますよね。なので今回は手前味噌で恐縮ですがAUBERGEのハンドフレームニット『NEST』をフランス式に育てて行く計画を書かせていただきます。

ニットって、その素材の特性上、2つのコースに分かれるんです。1つは買ったときが100点で、着ていくうちにどんどん崩れて行って最後はでろでろに伸び、毛玉だらけで終るタイプ。
でも、その型くずれと引き換えに得られるタッチのソフトさはピカイチで、何とかこの気持ちよさを長持ちさせようと必至になるのもこのタイプ。

もう1つは道具として出発するようなクラシックなタイプ。例えばチャネル諸島のガンジーニットやフェアアイル、シェットランドなどなど。あまりにスタートの段階から硬派すぎて毛玉ができても気にもならない。良いですよねこーゆーの。ただ最大の弱点はかゆいケースが多い事。寒い地域の羊の毛はどうやら剛毛らしいんです。このかゆかゆ糸で出来たタートルネックなんて考えただけでもゾワゾワします。

はい、ここで今回のAUBERGEハンドフレームニット『NEST』の登場です。まず開発コンセプトとして、1800年代の糸の作り方に極力準ずる事。故に、染色を一切しないこと。要するに羊の毛の色そのままが製品の色ということ。ケミカルを使って刈り取った毛を洗浄する工程をやめ、古式に法り水洗いで仕上げる事。これにより羊毛本来の機能が50%近く失われる事を防ぎ、大地の力を100%糸にしたようなパワフルな表情作りに成功。また、かゆさ対策で今回はニュージーランドの羊毛でトライいたしました。これまた大成功。チクチク感ゼロの着心地に。ただ1点だけ、表面に水洗いでは取りきれなかった藁などのかけらがちょいちょい混入しております。見方によってはナチュラルの証の様な物。デザインはAUBERGE定番のアメリカンレッドクロス型。ハンドフレーム機は手編み(棒針編み)の次に素朴な編み方。藁の入った糸なんて全自動の機械にかけたら叱られます。手作業だから藁を取りながら編み進んでいただいたわけです。最後にこのセーターの匂いって渋谷のバックドロップやプロペラ的な男のインポートな道具臭プンプンと展示会で話題となりました。山下さーん、こんどお持ちしますねー!