確か僕がこの靴を買ったのは、1995〜96年。当時読み漁っていたSmartかASAYANで、no.44の田村さんという当時を代表する売れっ子プレスが、パラブーツを色落ちしたブラックジーンズと合わせていた姿に憧れたのがきっかけだ。高嶺の花だったJMウエストンよりは安く、エルメスも別注していたというウンチクも備え、しかも僕のような大学生でも履きこなせそうなカジュアルな佇まい。近所の坂戸駅前にあったそこそこ品揃えのよい靴屋(店名は失念。現在は閉店している)に走り、4万円ちょいで購入したのだった。そういえばこの店では、確かアザラシの毛皮を使った『ミカエル』も4万円程度で購入した。毛皮の模様が気に入らずすぐに手放してしまったことを、今でも後悔している。余談だが今や僕のホームタウンで4万円の靴なんて売っていないだろう。1990年代半ばは、まだ郊外にギリギリ元気があった時代だったのだ。
今まで履いていたドクターマーチンは手入れなんて一切しなかったのに、これに関しては履くたびに磨きまくった。丈夫ではあるが比較的傷が目立ちやすく、経年変化がわかりやすい革だったので、無性に手をかけたくなったのだろう。油性のワックスやら、水性のクリームやら、ミンクオイルやら、茶色やら無色やら……、もう靴磨きのセオリーなんて無視。「ノルウィージャン製法は水に強い」という聞きかじりのウンチクを実証すべく、雨の日でも、警備員のバイトでも履きまくった。そうして数年でできたのがご覧のような見事な風合い。実はここ10年で数回しか履いていないのだが、今でも靴箱の「一軍」の位置に飾っており、見るたびにうっとりしてしまう。
実はパラブーツに関しては数年前に定番の短靴、『シャンボード』を改めて購入し、そこそこの活躍頻度で履いてはいるのだが、なぜだかこういった風合いに育たない。変わってしまったのは革なのか、それとも僕の生き方なのか。
人目に触れない家の中でこそ、密かに楽しんでいるアイテム。AMVARたちが自分だけの楽しみとしているアイテムは、どんなものなのでしょうか。
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