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2020春夏をさきどり悪いクセ

カルチャーには必ず周期的にターニングポイントと言う物が訪れます。風向きが変わる、潮目が変わるとも表現されるなにが原因か全く解らないが、昨日までのすべてが突然古くさく思えてしまう、とまあそんな現象だ。身近なファッションを例にとると、マイサイズ感覚の概念のすべてを破壊したヴェトモン&バレンシアガ、男子服を極限までシェイプしたエディ・スリマン ディオールオム、本来本気系フィールドウェアなのに都市生活者の制服と化したパタゴニア、この20年を遡るとこんなところでしょうか? まぁ、ボクもファッションが仕事なので意図的に潮目を変えたり、潮に乗った振りをして潜水してみたりと時代との付き合い方を楽しんでおります。

では、ファッション抜きでボクの人生で最も衝撃的なカルチャーの潮目と聞かれれば、それはズバリ1979年公開『マッドマックス』そして2年後の『マッドマックス2 The Road Warrior』この2作品なのです。極悪バイオレンス映画の金字塔であり、越えては行けない一線を軽々と越える、学校道徳教育の対極的存在、親が未成年に見せたくない映画の筆頭だろう。Kawasaki系旧車マニアからも熱視線が向けられる・・・。
ボクがこの2作品のどこにシビレているかと申しますと、ディテールと言うより、シリーズ 1の成功に対して2の飛躍、これに尽きるのです。クリエイターにとって、デビュー作でなまじヒットを飛ばしてしまった場合の2ndは大概スベるのが世の常である中で、この映画は完全に攻めきった。昭和の漫画でいえば『リングにかけろ』が、当初全国中学生ボクシング大会だったのが、結果的に宇宙的SF規模に飛躍してしまったあのレベルとでも申しましょうか。早すぎた世界感設定、こってりと色の乗った映像美はその3年後『北斗の拳』を生み、現代であれば『東京喰種』辺りに通じるのかも知れない。81年に曲げられた潮目はその後の世界のサブカルクリエイター達を迷宮へと誘い込み、以後40年が過ぎようとしている。勿論2015年の怒りのデスロードも素晴らし過ぎるバイオレンスっぷりで更なる続編への期待値はまさにMAXなのだ。

2019年、ファッション&カルチャー総合の潮流を振り返ると、too muchなコンサバ感とダメ軸が入り乱れる感触の年だった気がします。なんとなく2020年は大きな災害さえ無ければちょっとした好景気の幕開けになるような気配を肌で感じております。好景気への潮目と期待しつつ・・・・そうなるとダメ軸の存在もしばし休憩に入ります。ダメ軸は時代の香辛料、味チェンジの為の劇薬なので、美味しい料理がサーブさせる時期には棚の奥底に閉まっておくべき物でしょう。

そんな時代の空気感の中で、今年あまり寝ないで頑張った自分へのご褒美、備忘録としてこのTシャツを買いました。2の改造車(INTERCEPTOR)にフォーカスしたメルギブソン外しの心底ダメなTシャツを、あえて・・・。2020年春夏、深夜にコンビニに行く時、こっそり着る予定です。