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2020春夏をさきどりヴィンテージ・リネンと向き合ってみた。

アメリカ古着とフランス古着を比べると、近代の物はさほどの違いは無いが、第一次世界大戦以前辺りからはその差が歴然となる。フランスはリネン製のものが大半を占めてくるからだ。
1800年代に至ってはアメリカ古着の流通はほぼなく、あっても1千万越えの値が付くデニムも話題に上る様な状況であるのが、潤沢に在庫のあるフランス古着の1800年代製は2〜3万も出せば入手可能だ。この不公平さを知り合いのユーロ古着業者は嘆いている・・・。
2020年春夏、我がAUBERGEではフランス製リネンのヴィンテージな作業着の再現に挑んだ。サンプル古着の糸の太さを今の基準に置き換えると100番単糸。通常このレベルの超細密番手リネンは、今ではミセスのハンカチなどでのみ存在する。組織もローンというしっかりしたガーゼ位のものでピカピカのモアレがでているような高級品で1枚1万円はしてしまう。しかしこのローン素材の打ち込み本数では『道具の服』は作れない。高密度で麻を織る難しさとは、糸に伸度が無いのでムリをさせるとプツリとすぐに切れてしまうのだ。日本ではこんな時は麻糸に水溶性ビニロンを巻き高密度に織り、生地洗いを施すとビニロンが溶けて麻100%の織物となる手法がスタンダードだが、ビニロンが存在していた隙間は残るのでフレンチヴィンテージ独特の高密度感には到底おぼつかない。100年前に出来ていたのに、この自動車が勝手に走る現代では織る事すら出来ない不思議な素材リネン。いやー、苦戦しました。でもようやく完成いたしました。滋賀県の機やさんで細い麻を織る為に機械をカスタムしまくっている匠のところでようやく満足がいく結果が出せました。ベルギー産80単糸を使い、限界までがんばってもらったその表面はぷるぷるのピーチフェイス。よくあるイタリアのダンディーなちょい透け感のあるシャツとは違い、あくまでも道具として使われていたフレンチヴィンテージシャツの再現に成功したのです。今回AUBERGEではこのノスタルジーなリネンでロダンのアトリエスモッグやセザンヌのブラウスを企画いたしました。いずれもギャザーディテールの効いたヴィンテージな逸品に仕上がっております。そしてなんと、Amvai別注として、セルジュゲンズブールモデルがこのリネンでリリースされます。詳細は年明けに発表と相成ります!こちらも是非!!
ところで1800年代のシャツ生地は100単糸を使って、どのように事故らず織り上げていたかと申しますと・・・手織りでゆっくり詰め詰めで行くらしいです。なるほど、結局そーゆーことか・・・。