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偏愛コーデュロイ都会式コーデュロイ

コーデュロイという素材を初めて(自らファッション的な目線で)身に付けたのは、16歳の頃だったと思う。熊本市内にあるペニーズという古着屋でベージュの517を4900円で買った。父親から拝借したブラウンのツイードジャケットに、パッチワークツイードのキャスケットを被り、生成りのタートルネックセーターを合わせてネオ70'sを気取っていた。足元は何故か Merrell のトレッキングブーツ(茶、スエード)だった。17歳になると Or Glory のへちま襟ハーフ丈ダッフルコートに近所のジーンズショップで買ったリーバイスの500番台マイナーロットナンバー(失念)の黒い太畝を2サイズアップの31インチで合わせ、agnes b. のニットキャップ、黒スエードのローファー。全身黒でキメていた片田舎のイヤな高2。ビームス入社後、23歳の頃は Go Getterで薄いグレーの519を買い、裾のサイドシームと膝をカッターで切り裂き、George Cox の白いラバーソールに合わせていた。いま思えば社会人のくせに汚ねーな…。というか、全部リーバイスだな。その後も ato のミリタリーシャツやマルジェラのパンツなどチョコチョコと手を出したコーデュロイ素材。思えばコーデュロイって、基本的には「懐かしくて、レトロフィーリングで、ダサい田舎風素材」の代表だ。今でこそコーデュロイを着てお洒落な人の代表と言えば映画監督ウェス・アンダーソンだが、彼もあのロマンチックで繊細な作風があってこそ、という感じ。どう考えてもスノッブだと思う。大好きだけど。最近のコーデュロイ流行りを受けて、昨年は Duca Visconti のワインレッド細畝コーデュロイを乗せた2Bスーツを自ら企画製品化したのに、タイミングを逸して結局買わなかった。で、2018年に私物のジャケットをベースに企画したのが4つボタン、ダブルブレスト、3パッチポケットのスーツ。構築的なショルダーラインと鋭いウエストシェイプ、ヒップがきちんと隠れる長さの着丈が特徴のこのスーツに乗せたのは英国の名門 brisbane moss のダークネイビーコーデュロイ。ブラウンやベージュだと田舎風に見えるコーデュロイもミッドナイトブルーになることで俄然アーバンに。これをディナージャケットに見立てて、黒の表革スリッポンやボウタイに合わせ、イブニング風のコーディネートで軽めのパーティーやレストランに出かけるのも洒落て見えると思う。夜専用ならば、ボタンを全てグログランのくるみボタンに付け替えてみるのも面白い。勿論、こんな妄想はすべて、フランス映画のワンシーンみたいにエスコートできる素敵な女性が隣にいれば、の話…(笑)。