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XX年のヴィンテージヤバい曲とダメな服。

2000年代に入った頃から、『ヤバい』という言葉の意味が全く逆のニュアンスにひっくり返ってしまった。元々はネガティヴな「よろしくない」、とか「危険な状況」みたいな感覚だったものが、イッキに「この価値を認めない訳にはいかない」と、こんな具合に。特に夜の渋谷DJ音楽業界は音源に対しての賛辞の言葉はほぼ「ヤバい」「やっベー」の連発で、その中には「周りの連中は気付いてないと思うが、この凄さを見出してるのは俺たちグループだけだよナ!!」と、閉鎖的な価値観共有の目論みを、彼らの「ヤバい」の使い方から感じる程だ。
そして今、ファッション業界にもこの渋谷DJ語「ヤバい」と同じベクトルに向かっている言葉が囁かれ始めている。それは
「ダメな服」とか「あ〜、いい感じにダメっすね」コレです。
このダメの意味は相当に深い。ダメを使うのはファッション業界の中でも割と先っちょを極めようとされている達人達で、より強い刺激を求め続けた結果の到達点ではあるが、悪趣味のソレとはちょっと違う。口火を切ったのはブランド「ヴェトモン」で、とてつもなくサイズの合っていない服を着る、をコンセプトにしてみたり、超老舗のハイブランドが超安物古着風で自社ブランドロゴをプリントしてみたり・・。まぁ、何が楽しくてこんなことしてるのか訳が分からないですよね。この微妙な感覚を、嗅覚の鋭さでは定評のある名物バイヤーの方から面白い解説を頂きました。
「ボクらがインポートブームに初めて直面した80年代中頃、外国から輸入した服は当然外人向けに作られていた訳で、サイズは日本人にとってめちゃくちゃだった。入荷もその1着だけだったりして。しかし日本人はそのサイズの合っていない1着をどうにかカッコ良く着こなせないかととてつもない努力をした。そして気付いた。ダメなサイズは全てがマイナスでは無い事を。合っていない服を着たあなた、それインポートっすよね?例のアレですよね!?とまずは入手に対しての羨望の眼差し。そして同業者同士で着こなしの個性を競い合えたんだよね。サイズが合っていないと言う余白が服にあったから、着方に強烈な個性が生み出せた。まさに正解のない世界。かつては着る側にもクリエイティヴな感覚が要求された時代だったと。今はインポートも日本人体型を考慮した完璧なカプセルの様な服となって来日し、誰が着ても同じ様にそこそこカッコ良く収まる時代。そのアンチテーゼとして歪んだ服、ダメな服をどう着るか?それを楽しみと思えたかつてのアノ感覚が懐かしいんだよねー。」とのこと。
でも、これってボクにとっては古着から感じるイマジネーションと同質なんです。この愛おしいけど、どうしようもないパンツを何と合わせようか?レングス工夫してみるか?とかね。
だから今、夢中なのがデニムの歴史の中で唯一ボクが敬遠していたケミカルウォッシュ501のカスタム。このダメっぷりたるや史上最強かもしれません。猛毒です。ならばボクはダメダメ流行最先端???ってことになれるかな〜。